労働基準監督行政DXに関する内容が示されています(2025/6/16)
6月13日、第11回デジタル行財政改革会議が開催され、『デジタル行財政改革取りまとめ2025』、『データ利活用制度の在り方に関する基本方針』を決定しました。
『デジタル行財政改革取りまとめ2025』の構成は、次のようになっています。
Ⅰ デジタル行財政改革の基本的な考え方
Ⅱ 各分野における改革
Ⅲ 国・地方デジタル共通基盤の整備・運用等
上記Ⅱでは、10分野(教育等、子育て、医療、介護、福祉相談、モビリティ、インフラ、防災、スタートアップ、労働)について進める改革の内容が示されていて、「子育て」「労働」では次のように示されています。
【子育て】
●保活ワンストップシステムの全国展開
・入所申請時に必要な就労証明書について、国による様式の統一・法令上の原則化は図ったものの、企業側の書類作成負担は十分に軽減されていないとの指摘がある。これらの課題の解決を図るため、保活ワンストップシステムの全国展開を図る
・就労証明書の内容について提出前に確認をしたいとの子育て世帯の希望も踏まえ、子育て世帯を経由して自治体に提出される方法を第一とし、保護者、自治体、企業に最も負担が少なく、合理的な方法を検討し、2025年度中に保活情報連携基盤の中で機能を実装する
【労働】
●利用者起点で目指す姿
働き方が多様化し、事業者の労務管理の在り方も多様で複雑なものとなる中、AI・デジタル技術を活用することで、事業者が適切な労務管理を行い、安心・安全で働きやすく魅力ある職場づくりを実現できるようにしていくことが重要な課題
●実現に向けて必要となる取組み
(1)労働基準監督行政DXの推進
→ 労働基準監督官の数が少ない中で、多様化する働き方や複雑化する労務管理により生ずる課題に的確に対応するため、AI・デジタル技術の活用により、労働環境改善に積極的な事業場に自主的な改善の取組を促す一方、法違反が疑われる事業場に対して限られたリソースを集中的に投入する下記の取組みを進める
ウェブサイトを通じた電子申請の利便性向上を図ることとし、36協定届、就業規則届等、特に件数の多い手続について、入力ガイドの追加やエラーチェックの強化等の支援機能を充実する
① 事業者の自主的な改善の取組みの促進
2027年度からの運用開始に向けて事業場ごとのマイページ機能を設けたウェブサイトを構築し、各事業場の業種や規模等に応じた法令改正の内容や助成金等の支援制度等の情報を的確に提供する機能や、労働条件等に関する自己診断の回答結果に応じて必要な資料の作成補助や、専門家による個別支援を勧奨する機能等を盛り込むことにより、法違反の未然防止や事業者の自主的な改善の取組みを促進する
② AIを活用した監督指導対象事業場の選定等
労働基準監督署に蓄積した情報等とAIを組み合わせることにより、法違反や労働災害リスクの高い事業場をより効果的・効率的に選定する方法について、検証を行いながら早期の導入に向けた検討を進める
③ DX推進体制の強化
労働基準監督行政DXの推進に向けた組織体制を強化し、行政サービスの向上、業務運営の効率化の取組みを進める
また、Ⅲでは「事業者のデジタル化」に関して次の内容が示されています。
・事業者が各府省庁等に対する行政手続を行う際に、その検索から準備・手続管理までをワンストップで行えるようにする「事業者向けポータル(仮称)」の整備を進め、2025年度中に実証版(α版)を構築し、その運用を踏まえ、2026 年度以降に正式版の提供を目指す
・GビズIDや、決済、通知等について、デジタル公共インフラ(DPI)として位置付け、デジタル庁の保有する他システムの活用可能性を検討しつつ、整備を進める。GビズIDについては2026年度中に商業登記電子証明書との連携を進めるとともに、経済産業省が推進する産業データ連携に向けた取組みであるウラノス・エコシステムのトラストに関する検討も踏まえ、民間での認証機能の利用拡大を検討する
・各府省庁における事業者向け行政手続および補助金の調査について、2025年度以降も継続的に実施し、オンライン化が十分に進んでいない行政手続や補助金について、GビズIDやe-Gov、Jグランツ等を活用し、効率的にオンライン化を推進する
≪ 令和7年改正労働施策総合推進法に関するリーフレットが公表されています | 令和6年度の障害年金の認定状況に関する調査報告書が公表されました ≫